ヒミツの恋【短編集】
『うわあっ!!』





ソファから転げ落ち、それでも私を驚きながらみて来る和弘は、9歳も歳が離れているなんて思えない動揺っぷりだった。






「谷口さん、私っ…」






気持ちを伝える前にキスしてしまった事を謝ろうとした。そして…私の気持ちを伝えようと…






けれど、和弘はソファの下で両手をついて…土下座し始める。







『裕美ちゃん、ごめんっ!!』








「えっ…」






伝える前に玉砕!?







ジワリと涙が目に浮かぶ…





そんな私を見て更に深く頭を下げる和弘…







『ホントにごめんっ!!寝ぼけてたとはいえ、こんな事しちゃってっ!!』








「…え?」







もしかして…和弘は、自分からキスしたと、勘違い…してる?







『好きでもない俺にキスされて…泣くほど嫌な思いさせてホントに…』







私はそこで思い切り首を横に振った。







「嫌なんかじゃない…私は、谷口さんとキス出来て嬉しかったの。なのに、土下座して謝るから…悲しくて…。初めてのキスだったのに、謝られるなんて…そんなの悲しいよッ」
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