ヒミツの恋【短編集】
話し終えても和弘は無言で何も言わなかった。






電話で表情が見えない分、どんな顔してるのかわからなくて、どんどん不安になる。





「もし…もし?…怒…っちゃった?」






極度の緊張で喉が引っ付きそうなくらいカラカラして、上手く話せないよ。





『そっか…。そういえば大分前に部長なにか一生懸命見て電話してたよ!…その後すごく喜んでたな。きっと予約がとれて嬉しかったんだろうな!』






和弘の声はガッカリしたものでも何でもなくて、いつもと同じ…ううん寧ろ嬉しそう?






『いいお父さんだよな!…せっかく部長が頑張ったんだし、楽しんで行っておいで。…そうなると、あまり時間もないし、会うのよそうか?』







「え…?」








和弘は…私と会えなくて残念じゃないの?






会えない事を喜んでるように聞こえるよ?
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