ヒミツの恋【短編集】
『裕美ちゃんっ!!』







大きな声で私を呼ぶ声と、同時に強い力で肩を掴まれる。







「離してっ!!」




振りほどこうと抵抗するけれど、和弘の力に全然敵わない。





道行く人が何事かとジロジロ見てくる。





『…ここじゃ目立ちすぎるから、ちょっと来て。』






肩を抱かれて無理矢理連れてかれる。







こんな時だっていうのに、ドキドキする心臓…






私からお願いしてやっと手を繋いでくれるくらいしかなかったのに…






こんな時に初めて…そんな力強く私に触れたりしないでよ…






そんな事されたら私…諦めつかなくなっちゃうじゃないのよ…







「…離してよぉ…ひっく…」






泣いたらダメ…







こんな風に泣いたら…和弘はまた私に同情してしまうでしょ?






泣きたくなんてないのに…






なんで…止まってくれないのよ…
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