ヒミツの恋【短編集】
「けど…それきり…だったじゃない!…付き合って…から、何も…。ど…して…?」







狡い私はホントの事は言わずに和弘に問い掛けた。





和弘は抱きしめる腕に力を入れて、大きく息を吐く。





『…少しは察してくれよ…。俺がどんだけ我慢してたのか…。
なんでか、わかる?』








我慢してた?





「私が…上司の娘だから?お父さんが…ひっく。怖かったから?」







ピクって和弘の体が動いた…






『…まぁ、それもちょっとは、あるかもしんねーけど…。1番の理由は…そんなんじゃねーよ!』






グイっと体を離して、私を見つめる和弘の目は、初めて見せてくれた真剣な眼差しだった。
< 199 / 218 >

この作品をシェア

pagetop