ヒミツの恋【短編集】
「和弘が好き…大好きなの…」






『…俺も…ちゃんと好きだよ…。部長に連れてかれて、家で会うようになって、すぐに惚れてた…』







惚れてたなんて…そんなはっきり言われると胸がキュンと音を立てて、切なくなる…






切ないけれど…どこか甘酸っぱいような、くすぐったいキモチ。





抱き着いた和弘から…甘い香水の香りがして私は、スーっと思い切り息を吸った。







『…何してるの?』







そんな行動に不思議そうに問いかける和弘。







「…和弘の体…いいニオイがするから…。すごく…落ち着くの…」






不思議だね…さっきまではあんなに苦しくて…悲しくて…






なのに、和弘のキモチ聞かされて、こうして胸の中で、和弘の香に包まれてると…嘘のように心が軽くなってくの。






嘘ついて…無理矢理付き合ってもらってたんじゃなかったって事がこんなにも嬉しいなんて思いもしてなかったの。
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