ヒミツの恋【短編集】
そして遠ざかる足音…





完全に何も聞こえなくなってから私は、足元で縮こまってる彼に声をかけた。





「行ったみたい…もう出て来ていいよ…渉先輩…。」




するとゆっくりと顔を上げて、私の膝の上に顔を乗せて、笑った。





『“渉”でいいって言ったろ?先輩なんてつけるなよ…』





そうして少しだけ私の足を広げて、膝の少し上の部分に唇を押し付ける。





私はくすぐったくて、思わず声をあげた。






「ひゃっ!渉せん……わ、渉!くすぐったいからヤダ!」






ちゃんと私が呼び捨てにした事に満足したのか、渉は目を細めて優しく笑い、立ち上がった。
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