ヒミツの恋【短編集】
そうして椅子に座ったままの私の前に目の高さを合わせて立つ渉。





『匿ってくれたご褒美、あげなきゃね…』





ゆっくりと渉の整った顔が近付いてくる。





サラサラノ渉の少し長い前髪が私の頬を掠めて、それを合図に私は目を閉じた…





私より少しだけ冷たい渉の唇が重なる。





その冷たさと、唇の柔らかさが癖になるほど気持ち良くて、私はいつも離したくなくて、渉の首に手を回してしまうんだ…






私の唇の熱が渉の唇に完全に移った頃唇を離す渉。





名残惜しい気持ちで渉の顔を見る私にフッと笑いかけ…






『もっと…ご褒美、欲しい?』





妖しく笑うその笑顔にゆっくりと頷く私。





渉とのキスに酔いしれて、ぼんやりとしてる中、次に発する渉の言葉で一瞬にして思考が正常に戻ってしまった。
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