ヒミツの恋【短編集】
こんな偶然はもう無いだろう。
そう思っていた私は、夕日に溶けた渉を忘れないよう…目を閉じれば、いつでも思い出せる様にとずっと、見つめているだけだった。






けれど…





偶然が続いた。






渉は図書室を恰好の隠れ場として利用するようになった。





私は驚きながらも、嬉しくて…すすんで放課後の図書室の残り番をするようになっていった。






とは言っても、渉と私はいつまでも何も無かった。





渉が図書室に来る様になって、窓側の席で座って時間をやり過ごすようになっても…




ただ見つめるだけの私…
話しかける勇気もない…





思えば、渉は私がずっと見つめてた事に気がついていたのかもしれないね。





だからあの日…私にチャンスをくれたんだ…





私に勇気をくれるチャンスを…
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