ヒミツの恋【短編集】

作り笑い

あれから、泣きたいほど悲しいはずなのに、心はズキズキと音を立てて泣いているのに…





泣けずにいる私。






朝の登校時間も、万一渉に会わない様に時間をずらしてすごく早い時間に登校した。





休み時間も、もしかしたら渉が来るかもしれない…
そんな馬鹿な期待をしていた。





だからいつもわざとトイレに行ってギリギリまで篭ってみたりしてた。






実際渉が訪ねて来る事なんて無かった。






だって渉が2年の教室に顔なんて出したら、きっとみんな騒いでるはず。





トイレから戻っても、そんな雰囲気じゃない事が物語る。






…渉の心から私は完全に消えたんだね…





胸が…心が悲鳴をあげるくらい痛いのに…




未だに泣けない。






…泣いてスッキリしてしまえば、渉を思い出す事も段々と無くなっていく。





それをどこかで拒否しているのかな。






そして…心からも笑う事が出来なくなった。
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