二人の距離
「恋人同士に見られるかもしれないですから」
「涼葉?」
「だって私達は付き合ってもいないのだから、ちょっとしたことで友達とかに誤解されたら恥ずかしくて・・・・・・」
「俺はそんなこと・・・・・・」
「私が気にしてしまうんです!」
 
 学校の門に着くと、友達が学校の中に入って行く姿が見えたので、追いかけるために真示にお礼を言った。
 真示は離れて行く涼葉が見えなくなるまで見ていた。その後は自分の教室へ行かず、人気のないところまで歩いて行き、深く溜息を吐いた。

「あいつ・・・・・・」

 高校生の頃、涼葉の友達、つまり真示のクラスメイトと教室に入ってきて、一緒に昼食を食べていた。一年生だった涼葉は上級生の教室に入ることに緊張していたので、気紛れに声をかけた。気がついたら、涼葉と一緒にいることが当たり前になるようになった。
 それなのにーー。
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