二人の距離
未だに涼葉は真示のことを親しい先輩くらいにしか思っていない。それに苛立ちを覚えていた。
真示の携帯電話のデータボックスには涼葉とツーショットの写真が一枚だけある。この写真は真示が高校を卒業するときに撮影した。写真を見ていると、枯葉を踏む音が耳に届いたので、顔を上げると、同じ学部の二川希彩(ふたかわきさ)がいた。
「授業じゃなかったのか?」
「サボりじゃないからね。先生が体調を崩されたみたいでさ。その人、彼女?」
「お前には関係ないだろ」
「荒れている理由は何?喧嘩?」
「違う」
真示が携帯電話を閉じると、希彩は不満を漏らしていた。
希彩が相談に乗ろうとしているので、いつもだったら話さない真示だが、今日は話すことにした。
真示の携帯電話のデータボックスには涼葉とツーショットの写真が一枚だけある。この写真は真示が高校を卒業するときに撮影した。写真を見ていると、枯葉を踏む音が耳に届いたので、顔を上げると、同じ学部の二川希彩(ふたかわきさ)がいた。
「授業じゃなかったのか?」
「サボりじゃないからね。先生が体調を崩されたみたいでさ。その人、彼女?」
「お前には関係ないだろ」
「荒れている理由は何?喧嘩?」
「違う」
真示が携帯電話を閉じると、希彩は不満を漏らしていた。
希彩が相談に乗ろうとしているので、いつもだったら話さない真示だが、今日は話すことにした。