あしたのみらい
まぁ、話そうともお互いしてないけどね……。

正直、そろそろ外の空気が吸いたくなってきた。

―外に、出てみるかな…。

今までの私は、絶対にそんなこと思わなかっただろう。

お母さんの買い物の時間を見計らってずっと履いてなかった、

スニーカーに足をいれた。

ドキドキしているのは多分変なんだろう。

ガチャリ。

久しぶりに聞いたドアの音。

私は、雲ひとつない晴天の空に向かって叫んだ。

「孝一くん、元気してますか」

山びこどころか、山も、返ってくるような高い建物も何もない。

でも、なんでだろう。

すこし悲しいのかな…。嬉しいのかな…。

強い日差しが、私の心を晴らしてくれたような気がした。

「孝一くん、ありがとう」

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