RAMS
「や、やめて」静寂を破ったのは、桜湖の震えたこえ。小さい声だったが、妙に大きく、虚しく響く。
ふっと羅那が視線をそらす。そのすきにカミーはドアを背に向けていた羅那を両手でドンッと押して、部屋を出て行った。
カミーの力は相当強かったらしく、「どっ」と音をたてて。羅那の背中が壁にぶつかる。
その衝動でウッっと顔を歪めた。
「羅那ッ!」「先輩!」
桜湖と詩菴が青い顔をして羅那に駆け寄る。
「ん、もう大丈夫。心配かけてゴメンな。」
...とりあえず会はお開きとなった。
「...ねぇ、羅那先輩が言ってた“キャメロン・アン・モーガン”って絶対」
「カミーちゃんのことだよね」
と桃愛の言葉を梨李芽がしめくくる。
「さく」
「ん、」
みんなが帰ったあと、桜湖は一言も話してなかった。
「あの、2人の関係はあたしにはよくわからない。
...だけど恋人とか友人とかそんな軽いものではない気がする。」
桜湖が話したとき、桃愛の携帯が異様に明るく着信を告げる。
「咲稀(さき)ちゃんだ。」
「咲稀ちゃんって...カミーちゃんのルームメイトの?」
「“カミーちゃんのことについて話があります。”だって。」
「さく、これは...」
「うん、しっかり話しないとね。」