天使たちの過ごした日々【神前悧羅学院】
無論、友達を何人連れてきても構わないと一言添えて。
生徒総会の役員しか存在しなかった閉鎖のお城も、
今ではエントランスと会議室は、一般生徒たちで賑わいを見せるようになった。
そんな生徒たちの輪の中で、楽しそうに微笑む紫を見ているのは、
俺にとっても楽しいひと時だった。
そしてこの日の放課後も、紫は何かを企んだかのように俺に微笑んだ。
「彩紫、今日はPalaceの庭でお茶会をしよう。お茶会だよ。
その為に学院生から、お茶係をしてくださる存在を
募集して貰えないかな?
今は昂燿だけかもしれませんが、そのお茶会をやがて
各校へ私たちが赴く為の一つのきっかけに出来たらと思っているんだ」
唐突に言い出した紫の提案も、
今の俺には反対する余地もない。
「お茶会だな。
ならば、各生徒総会の総代に連絡を取って至急お茶係を手配する」
「えぇ、彩紫お願いします」
その後、俺は各部総代に繋ぎをつけて再び教室に戻ってきた時、
紫もまた自ら、教室の生徒に話かけて高等部のお茶係を募っているみたいだった。
『本日の放課後総会のティータイムを
手伝っていただける方はおられませんか?』
総会のティータイム。
総会だぞ……なんて思いながらも、
紫はそのスタイルを提案したその時からやめようとしない。
「綾音最高総、今日は私、お茶係参加させて頂きます。
生徒総会って遠すぎて、別次元だったんですけど、
今年になって生徒の為の役員なんだと、少しずつ身近に思えるようになってきました」
「そうだよなっ。
生徒総会って敷居が高すぎて、今までは近づけなかったんだよな。
崇めるって言うか、そんな存在。
でも今年は、ぐっと身近な存在になってきたって思えるんだ。
それは……多分、紫と彩紫と紫音が中心になって変えてくれてるからだろ。
本当ならお茶係やりたいけど、今日は海神校の奴と合同練習なんだよ。
げっ、ついてねぇー」
教室内のクラスメイトから、そんな声が次々とあがっていく。
『距離を開けているのは思いのみ。
私はいつも生徒一人一人の近くに寄り添っています』
そう力強いメッセージを発進し続ける……紫。