天使たちの過ごした日々【神前悧羅学院】
「彩紫、朝から悪い。
紫綺さまは?」
「今のところ順調なようだ。
拒絶反応が引き続き出なければいいな」
「そうだね」
「紫の方は?」
「今日は覚悟を決めて望まないとね。
学院の最高総としても、
綾音を背負う、一人の人間としても」
「おじさまは?」
「父からも『一族を実力で押さえつけろ』と
言われてしまったよ」
そう……『実力で押さえつけろ』と言う父の指令。
来春から理事長の就任が決まっているとはいえ、
まだ学生である私には早すぎると言う反対意見があがっているのも
確かな現状で。
それでも私がこれから行いたいと望む、学院改革を有言実行するには
今の理事会の現状では思い通りにことをすすめられない。
それ故に、父から出された条件が「実力で押さえつけろ」。
親族会議の場に、学院の正装服を身に着けて、
彩紫と共に乗り込む。
神前悧羅学院 現最高総合代表として。
その名に恥じぬ、思いを背負って。
その手のファイルには、
紫綺さまが命を削りながら仕上げてくれた
HBW制度の導入の為の企画書他、
現状の改稿案をまとめた。
・学院業務、学園都市業務は、各大手企業との提携。
・HBW制度。
・今以上に生徒の為の学校を目指すため、
学校行事をとり行う、生徒会の導入。
その後、何度も何度も親族間での話し合いが協議されて、
学院の新たな経営システムが決定される。
学院の運営業務は、今まで通り綾音一族を長とする。
その形式を取りながら、現在、学院に在籍している
それぞれの生徒の関係者たちが提携を申し出てくれる。
悧羅校の大学病院で提携を依頼していて伊舎堂をはじめ、
早谷・三杉・瑠璃垣・徳力・妹尾・櫻柳・伊集院など
そうそうたる一族と協定を結ぶ形で新たな学院運営を始めることとなった。
それぞれの分野を切り盛りする有名財閥が共同出資して
運営されていくこと。
才あるものの学費は全額免除。
将来、その道によって世界が開けたときに寄付金として、
未来ある学生を育てる援助を惜しまぬと誓約すること。
昂燿・悧羅・海神。
三校の長が、昂燿校であることに変わりはないが
三校全てにおいて、生徒総会・生徒会が設立されること。