天使たちの過ごした日々【神前悧羅学院】
生徒総会は、これまでと同様に
学院全体を動かしていくための生徒部署。
理事長・教師・講師・共同出資運営者の推薦枠で任命される。
その意味合い的には変わることはない。
そして生徒会。
生徒会トップにあたる頭取は、
実力あるものを生徒が生徒たちの手によって選出する。
各学校の中心となって学校イベントを総会との
架け橋となって運営していく。
そうすることによって雲上人の住む、
天上とのパイプラインが構築された。
そして、最後に導入が決まったHBW制度。
自立を促すために、早くから親元を離れて
寮生活を余儀なくされる。
その世界が視野が狭いものであってはいけない。
だからこそ、上級生・下級生共に互いに切磋琢磨できる
吸収システム。
紫綺さまの願いが詰まった新制度。
「それでは本日最後の案件について皆さまのご意見をお聞かせください。
先の最高総である櫻柳紫綺と、現最高総の提案によるHBW制度。
導入について賛成の方は、どうぞその場でご起立ください」
親族会議の進行役がゆっくりと告げた後、
会議に参加していた親族たちが、次から次へと椅子から立ち上がっていく。
満場一致の拍手が湧き上がり、
準備が整い次第、昂燿校から試験的に導入。
三学期には、悧羅校・海神校での導入も決定された。
思わず隣に居た彩紫と視線を互いに合わせる。
「会長。
ご子息は大きく羽ばたかれて行きますな。
今後のご子息の活躍に 期待しています」
拍手と共に父にそう告げた叔父は
満足そうに私を招きよせた。
「紫、今後の学院に期待している。
確かに、今の学院は古いものに捕らわれすぎている。
思うままにしなさい。
万が一、父上に反対されても私がついている」
「神前悧羅学院は変革の年を迎えた。
今後は、完全なる生徒の為の学院として。
その為にも 綾音一族は共同財閥と力を
携えて学院を羽ばたかせる。
世界の未来を背負うものを育成できる
学院として」
父である会長の声がゆっくりとその空間に響いた。
「紫、良かったな」
私の隣、彩紫は互いの健闘をたたえるように紡ぐ。
「天上への架け橋は出来た。
この先、お前が率いる学院に迷いはないだろう。
紫が思うように駆け抜けろ。
俺は、今も昔も変わらずその隣で支えてやる。
それが……お前と出逢った俺自身が自分で決めた未来だから」
「……彩紫……」
「紫綺さま、紫蓮さま、それに紫音のところへ報告に行こう。
この五人が居なければ何も始まらない。
そうだろう?」
彩紫の言葉を受けて、一族にゆっくりとお時期をすると
その場所を抜け出す。
「紫坊ちゃま」
家の運転手がリムジンの扉を開けて車内へと誘導する。
「大学付属病院へ」
「かしこまりました」
綾音の本家から病院へと向かう車内。
携帯が震えて着信を告げる。