あの加藤とあの課長
生渕さんが着替えるのを待って2人で昨晩と同じ宴会場へ行くと、すでに来ていた面々が好奇の眼差しを向けてきた。



「くっついたの?」



隣に座った私に、不思議そうな視線を生渕さんに向けた晋ちゃんが言った。

……くっついた。


明確な言葉にして言われると素直に頷き難い。

けど…、付き合ってる…んでいいん、だ、よね?


とそのとき、後ろから勢いよくガバッと抱きつかれて、危うく悲鳴を上げそうになる。



「やーっとくっついたのねーアンタたち。」

「と、敏ちゃん!」



来てたのか。

敏ちゃんはニヤーッと顔を崩して笑う。正直気持ち悪い。



「待ちくたびれたわよもうー。」



と言いながら、晋ちゃんとは反対隣に座る生渕さんを見やった。



「余計なお世話だ。」



そんな敏ちゃんに目もくれずに水を飲む生渕さんは至って冷静だ。

私はというと、晋ちゃんの視線が痛くてたまらなくて居心地が悪い。



「あらっ、煌ー! 煌ったら、ここよここー!」



遠くを同期と思われる男の子たちと歩いていた煌を、大声で呼ぶ敏ちゃん。

……絶対怒られる。



「あんまり大声で呼ばないでくれます? 恥かくの俺なんですから。」



ほら。
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