あの加藤とあの課長
「アンタも大変ねぇ。」



朝食を終えて敏ちゃんと2人自販機に行くと、唐突にそう言われた。



「板挟み状態じゃない、ずっとあぁなの?」



飲み物を選ぶ私に、後ろの壁に寄りかかって先に買った缶コーヒーを飲みながらそう訊く。

ずっと…か。



「晋ちゃんと知り合ったのは本社に上がってからなんだけど。」



ボタンを押して、下から出てきたペットボトルを取り出す。

ちなみにミルクティー。



「それからずっとかな…。」

「それって結構長いじゃない。」



敏ちゃんの視線を背中に感じながら頷いた。



「…4年。」



もう、そんなになるのか。

気付いていないはずがない、彼が私に向ける眼差しが、友達としてのものではないこと。



「長いわねー! 告白とかされないわけ?」

「されてない。」



蓋を開けてミルクティーを口に含むと、その甘さにホッとした。



「…晋ちゃんは、選んだの。晋ちゃんが思う、1番確実に側にいられる立場を。」

「…どういう意味?」



敏ちゃんを振り返ると、敏ちゃんは怪訝そうに顔を歪めていた。
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