あの加藤とあの課長
「生渕さんは平気なんですか?」

「蜂とゴキブリ以外ならいけるな。」

「ほう。」



命拾いした気分…。

先行く敏ちゃんと晋ちゃんに追い付こうとしたとき、2人が振り返った。



「イチャつかないのよアンタたちー!」

「早くおいでよー!」



なんて叫ぶ。

い、イチャついてなんか!


そう反論しようと口を開いたとき、敏ちゃんと晋ちゃんが目を見開いているのを見つけた。



「え、何?」



視線を辿ると、不敵に微笑む生渕さんがいて。



「わー課長が! 笑ってる!」

「源が! きゃー!」



なんて失礼にも騒ぎだした2人。

昨日から見まくってて麻痺してたけど…、生渕さんは、会社では笑わない人だった。



「失礼な奴らだな。」

「まぁいいんじゃないですか?」



間違ってはいないし。

ふと生渕さんがこちらに視線を寄越した。



「今はプライベートだからな。」



と微笑んだ。
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