あの加藤とあの課長
観光を終えて旅館に戻る途中、生渕さんが持っていてくれた袋の中を覗いていた。



「温泉饅頭、酒、お菓子…。」

「ちょっ、中身言わないでくださいよ!」

「さっき温泉饅頭と温泉卵とソフトクリーム食ってたよな?」

「うっ。」



私に向けられた視線は、呆れているというよりは驚いていて。



「結構大食いなのか?」

「…まぁ。」

「陽萌は普段面倒臭がってあんまり食べないんですけど、バイキングとか行くと1番食べますから。」



と晋ちゃん。

よ、余計なことを!



「だって食べなきゃ。損だよ、損。」



と言うと、敏ちゃんが後ろから私の腰に腕を回してきた。



「アンタそんな食べるの、こんな細っこいのに?」

「細くないから!」

「はいはいっ。」



ちらりと横を見ると、へー、と少し驚いている生渕さんがいた。



「少食の方が可愛らしいと思うんですけどね。私は大食いの部類です。」

「意外だ。」



呟かれた言葉に、胸がチクリとした。
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