あの加藤とあの課長
「やっぱり最高ー!」



お風呂に浸かって足を伸ばすと、思わず言葉が漏れた。



「温泉に住みたい…。」



観光は楽しかったけれど、ほとんど敏ちゃんと晋ちゃんに振り回されて終わってしまった。

2人だったらどうだったんだろう。



「お風呂上がりましたー。」



浴衣を着て部屋に戻ると、立ち替わり露天風呂に入った生渕さん。

その間に、軽ーく化粧を済ませた。


上がって浴衣2人、テレビを眺めてボーッとして、少し話して、時間になって宴会場に行って。



「また2人ー?」



そう晋ちゃんにからかわれたけど、別に気にならなかった。




「あのねー晋ちゃん。」



始まってから1時間、半ばヤケクソで呑んだビールに、少しばかり弁舌になった私。

隣にいたはずの生渕さんは何処へ。



「付き合うってー、難しいねー。」

「え?」

「私、ちゃんと向き合ってこなかったからー、いざとなるとよく分かんないー。」



お酒の影響を全く受けていない晋ちゃんは不思議そうに首を傾げた。



「何話せばいいのかなーとか、どうしたらいいのかーとか。逆に求められないと好かれてない気がするしー。」



何言ってるんだろう、私は。



「私のどこが好きなのかなーとか。」



グラスを空けたそのとき、見知らぬ男の人がやってきた。
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