あの加藤とあの課長
やっと手に入れた
「加藤。」
「はい。」
「この前の打ち合わせの資料。」
「はい。」
寄越せと差し出した手に、言われた資料を渡す。
「課長。」
「なんだ。」
「これ、お願いします。」
「分かった。」
オフィスの中、隣同士に並んだデスク。交わされる無機質な会話。
これが、私たちカップルの日常です。
「課長、コーヒー、いりますか。」
「…頼む。」
給湯室で自分の分のココアと、課長のコーヒーを淹れながら一息吐く。
社員旅行から1ヶ月。
この暑さも、猛暑から残暑へと呼び名が変わった頃だった。
「カップルらしくないって…。」
なんなのさ。
先ほどの増田ちゃんの言葉を思い出しながら、お盆にカップを乗せた。
お昼休み、晋ちゃんが外回りでいなかったから増田ちゃんと社食に行ったんだ。
『で、なんで私なんですか?』
鯖の味噌煮定食を食べながらそう尋ねる増田ちゃんに首を傾げた。
『なんでって、晋ちゃんがいないし…、増田ちゃんとご飯食べたいなーって♪』
『そういう嬉しいこと訊いてるんじゃなくて!』
『えー?』
『源さ…っ、んんっ。課長と食べればいいじゃないですか。』
間に咳払いを挟んで、増田ちゃんは言った。
「はい。」
「この前の打ち合わせの資料。」
「はい。」
寄越せと差し出した手に、言われた資料を渡す。
「課長。」
「なんだ。」
「これ、お願いします。」
「分かった。」
オフィスの中、隣同士に並んだデスク。交わされる無機質な会話。
これが、私たちカップルの日常です。
「課長、コーヒー、いりますか。」
「…頼む。」
給湯室で自分の分のココアと、課長のコーヒーを淹れながら一息吐く。
社員旅行から1ヶ月。
この暑さも、猛暑から残暑へと呼び名が変わった頃だった。
「カップルらしくないって…。」
なんなのさ。
先ほどの増田ちゃんの言葉を思い出しながら、お盆にカップを乗せた。
お昼休み、晋ちゃんが外回りでいなかったから増田ちゃんと社食に行ったんだ。
『で、なんで私なんですか?』
鯖の味噌煮定食を食べながらそう尋ねる増田ちゃんに首を傾げた。
『なんでって、晋ちゃんがいないし…、増田ちゃんとご飯食べたいなーって♪』
『そういう嬉しいこと訊いてるんじゃなくて!』
『えー?』
『源さ…っ、んんっ。課長と食べればいいじゃないですか。』
間に咳払いを挟んで、増田ちゃんは言った。