あの加藤とあの課長
「うあぁー。」



難しい。

真剣な付き合いをしてこなかっただけに、普通のカップルはどうするだとか…、分からない。


何? そんなに一緒にいなきゃ駄目?

そんなにデートしたいもん?


私は別に…、隣のデスクに、課長がいてくれる。それだけで幸せなんだけど。

こんなこと思うこと自体事件なのに。


ましてや私からデートしたいとか、何したいとかそんなの、夢のまた夢。



「今までは求められる側だったのか…。」



求める側になれってことか。

そういえば敏ちゃんにも、たまにはメダカになれって言われてたっけ。



「たまにはいいか。課長、暇な日あるかな…。」



私からデートに誘ってみるのも、たまにはいいかもしれない。

給湯室を出てオフィスに向かって歩いていると、向こうから常務と専務が来た。


一応会釈すると、彼らは立ち止まって私をジロジロと見る。



「加藤くん、だったかね。」

「はい。」



小柄のデブとがたいのいいデブ。それが常務と専務。

仲が良いらしくよく一緒にいるのを見かけるが、どうやらブラックリストのトップらしい。
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