あの加藤とあの課長
「うちの部署女の子少ないからさ、私寂しくて! 皆寿退社とかしちゃうし。」



不貞腐れながら言うと、増田ちゃんはポカンとする。



「だから、よろしくね!」



少ししてから、増田ちゃんは柔らかく笑って「はい」と言った。

なんて可愛いんだろう。いや、増田ちゃんの場合は綺麗系の部類かなー。



「さー呑んで呑んで!」



と増田ちゃんにお酒を勧めると、私もテーブルの上にあったグラスを引っ掴んで煽った。

……何これ、まず!



「うぇえー…。」

「大丈夫ですか!?」



顔をしかめる私に、増田ちゃんが驚きながら別のグラスを渡す。

それを煽って、しまったと思った。



「そのグラスのやつ…。」



最初に飲んでしまったグラスの中身を尋ねると、「日本酒ですね。」と言われ。



「これ…。」



増田ちゃんが渡してくれたグラスを掲げてみせると、彼女はケロッと言った。



「カルピスサワーです。私のですけど、まだ手つけてませんよ。」



……やばい。



「加藤さ……」



頭がぐるぐるする。

日本酒とカルピスサワーを一気飲みだなんて。



「……ふぇ…。」

「…まさか。」



増田ちゃんはさっと立ち上がったかと思うと、そのままどこかへ行ってしまった。

それから晋ちゃんを連れて戻ってきた増田ちゃんは、晋ちゃんに事情を説明しているらしかった。
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