あの加藤とあの課長
「お前、酔ってるだろ。」

「酔ってません。」



ピシャリと言い放つと、生渕さんは私の鼻を摘まんだ。




「少なくともいつも通りではないな。」

「はなひてくらはい。」



あーもう、本当にお酒回ってきたんじゃないかな。ううん、安心したのかな。

眠くなってきた。


やっと鼻を解放してくれた生渕さんは、私の顔を覗き込んだ。



「眠いか?」



ショボショボする目を擦りながらこくりと頷くと、生渕さんがニヤリと笑った。



「甘いな。」

「え?」



私を素早く抱き抱えた生渕さんは、そのまま寝室に向かう。



「ちょっ、生渕さん…!」



突然…!?

驚いて固まったままの私にお構いなしに、生渕さんは私をベッドに降ろした。



「…陽萌。」



優しく髪を撫でながら、慈しむ様に私を見つめる。

ゆっくりと顔が近付いてきて、そのまま唇が触れる。優しく、だんだんと深く。


生渕さんの首に腕を回してキスに応える。



「陽萌。」

「ん…?」

「好きだ。」



惜し気もなく告げられた言葉に、胸がギュウッと締め付けられる。
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