あの加藤とあの課長
いつの間にか眠っていたらしい。

目を覚ますと、相変わらずな生渕さんの顔があって、当の本人はまだ夢の中らしい。


さっきはただ単に綺麗だと思ったけど、こうして見ると可愛くもある。

(無防備…。)


そっと手を伸ばして、生渕さんの頬にかかっていた髪を耳にかける。

そのままゆるりと頬を撫でた。



こういうの、初めて。

こそばゆいけど、なんだかいいな。



「何してんだ?」



寝ていると思っていた生渕さんの口から言葉が発せられて、慌ててその手を引っ込めた。

その瞬間、パチリと片目が開いた。



「お、起きてたんですか…。」

「んー、なんだか心配でな。」

「へ…。」

「また抜け出されたりしたら堪ったもんじゃないからな。」



そう笑う生渕さんに、私は思わず苦笑した。

もう、抜け出しませんよ。



「起きるか…、今何時…。」



あっさりと私を離して起き上がった生渕さんは時計に目をやると、そのままベッドを降りた。



「俺先シャワー浴びるけど、いいか?」

「はい…。」

「それとも一緒に浴びるか?」

「結構ですっ…。」



ケラケラ笑って出ていく生渕さんの背中を見つめながら、私はシーツにくるまった。
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