あの加藤とあの課長
前にこのベッドに寝たのは、私が酔い潰れたとき。

あのときは私は直人と付き合ってて…、生渕さんは増田ちゃんと付き合ってた。


ん? 違う。
あのときに、言われたんだ。

『欲しい子ができた。』


懐かしいなあ…。


あのときは、まさかこうなるだなんて思いもしなかったのに。

生渕さんに、こんな…感情…。



「好き、なのかな…。」



怖いんだ。

まともな付き合いをしてこなかった私だから、どうしていいか分からないし…。


シーツに顔を埋めると、生渕さんの匂いがして落ち着く。

とそのとき、後ろから覆い被さるように抱きすくめられた。



「ひゃっ…!」



耳元で、クスクスと笑い声がする。



「生渕さん…!」

「陽萌、腹減った。早くシャワー浴びてこい。」

「はーい…。」



促されるままお風呂を借りると、置いてあった生渕さんのスウェットを着てリビングに戻った。
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