あの加藤とあの課長
『そうか…。』



生渕さんに電話をすると、生渕さんは考え込むように一言言った。

あれから定時に上がらせてもらって、自分の家に帰りたくなくて、煌の家に転がり込んだ。



「増田ちゃんにも勧められて、警察に行ってみようかと思うんですけど…。」

『そうだな…、その方がいい。』

「一緒に…行ってもらえませんか?」



ケータイを握り締めながら問うと、電話口で生渕さんが笑った気がした。



『当たり前だ。』

「お願いします…。」

『帰るのが金曜日だから…、行けても土曜日になるが、それでもいいか?』

「はい…。」



あと、明日を乗りきれば生渕さんが帰ってくる。

それだけでこんなにも心強いなんて…。


電話を終え、ケータイを握り締めてソファに座っていると、煌がお風呂から上がってきた。



「生渕さんなんて?」

「一緒に行ってくれるって。」

「よかったな。」



煌は笑いながら持ってきたビールのプルタブを開けた。



「ねぇ、煌。純ちゃんと同棲したりしないの?」

「あぁー…、な。」



煌は苦笑しながらテレビを眺めていた。
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