あの加藤とあの課長
煌が住むこのマンションは2LDKで、大学生時代に私と煌が一緒に住んでいたマンションだ。

面倒臭いと引っ越さない煌は、一部屋を持て余したまま。


だから、彼女の純ちゃんと同棲でもすればいいのにと思ったんだけど。



「大学生の頃からだから…、もう6年とか経つんじゃないの?」

「経つなぁ…。」



もう同棲とか通り越して結婚しちゃえばいいのにって思う。

純ちゃんは私たちと同い年だから、私も仲良くさせてもらってる。


数少ない友達と言ってもいい。



「まあ、気が向いたらな。」

「ええ~…。」



隣に座る煌の方に身を乗り出すと、煌は苦笑して私の頭に手を乗せた。



「今は妹が心配すぎてそんな余裕ない。」

「なっ…。」



はっきり言って、煌はシスコンだ。



「最近は生渕さんがいるから割りと安心だけどな。」



そう笑って、煌はビールの残りを煽った。


それから木曜日も煌の家にお世話になって、金曜日、敏ちゃんに送ってもらって自分の家に帰った。
< 189 / 474 >

この作品をシェア

pagetop