あの加藤とあの課長
それからナースコールを押して、看護師さんやお医者さんに診てもらった。

その間に生渕さん…源は、病院に駆けつけていた私の両親や煌を呼びに行ったり、他の皆や会社に連絡を入れていた。


両親も煌も源同様泣き腫らした目をしていた。

それから少しして両親と煌が帰ったけれど、源は帰ろうとしなかった。



「ごめんな、俺が部屋まで迎えに行けば…。」



そう言う源に首を横に振って、少し呆れ気味に言った。



「それ何回目? いいよ、もう。…私も、気を抜いてたしね。」



背中に傷は残るとのことだったけれど、他に別状はなく、傷が塞がり次第退院になった。



「とりあえず、少し寝ろ。」

「うん…、源もね。」



私が微笑むと、源も微笑み返してくれる。


髪を撫でる手に安心して、私はゆっくりと瞼を閉じた。

右手はしっかりと、繋がれたまま。
< 195 / 474 >

この作品をシェア

pagetop