あの加藤とあの課長
淡々と話す源に暫しポカンとしてしまった。



「俺の家で狭ければ、新しく家を探すが。」

「……。」

「…まぁ、実のところ、心配なんだ。」



言い難そうに、源は言葉を紡いだ。



「もうあんな思いはごめんだ。目の届くところに置いておきたいのが本音だ。」



源って、どうしてこんなに素直なんだろう。

笑ってしまいたいところだけど、出てくるのは笑いではなくて涙で。



「源…、愛想尽きてないの?」

「どうした、急に。」

「だって…、今回の事件だって私の男癖の悪さが招いた結果だしっ…。」



付き合い始める前も、付き合い始めてからも、私の男癖の悪さのせいでトラブルになってる。

愛想を尽かされてもいいレベルなのに。


源は上手く傷を避けながら覆い被さるように私を抱き締めると、ポツリと言った。



「だからこそなおさら、側においておかないとな。」



その言葉に、さらに涙が溢れた。



「他の男にふらふらしないように、目の届くところに置いておかないと。」

「っ、う…、源っ…、好きぃ…!」



いよいよ大泣きする私の頭を、源は笑いながらあやすように撫でた。


源はいつもそう。


あくまで私に選ばせようとする。どうせ選択肢なんてないくせに。

主導権はしっかりと握っているくせに。


こんなこと言われたら、嫌だなんて言えないよ。嫌なんて、絶対に思わないけど。
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