あの加藤とあの課長

負けない自信あり

それから数週間後、やっと傷が塞がった私はめでたく退院。

家には帰らず、すでに源の家にお世話になっていた。



「源ー、朝だよ? コーヒー淹れたよー。」



未だ眠る源の肩をトントンと叩きながら起こすと、源はうーんと唸るだけ。

本当、寝起きが悪いんだから。



「いいよー、晋ちゃんたちに手伝ってもらって引っ越しするからー。」

「……。」

「あ、湊とかも呼ぼうかなー。」



と言った瞬間、まさに飛び起きた源。



「湊さんは、駄目。」

「おはよ、源。」



私がにっこりと笑うと、源は顔を思い切りしかめた。

今日は、引っ越しの日。



「誰が来るんだ?」



やっと起きてきた源は、カウンターに腰掛けてコーヒーを飲んでいた。



「晋ちゃんと敏ちゃんと、煌。」

「男ばっかだな。」



と笑う源の言葉は、少なからず私にダメージを与えた。

とはいえ、もう慣れっこだからそこで大して傷付きもしない。


完成した朝食を手に源の隣に座ると、源は目を輝かせる。



「本日は和食でーす。」

「お前、なんで今まで料理しなかったんだよ。普通に上手いじゃん。」



「いただきます」と手を合わせながら、源は唐突に問う。
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