あの加藤とあの課長
源の…もとい、私たちの家に行くと、寝坊したはずの晋ちゃんがいた。



「おはよー、陽萌! じゃーんっ、引っ越し祝い!」



なんて楽しそうに大きな正方形の箱を取り出す。

それにプリントされたロゴは美味しいと有名なお店のもの。



「わー、 ありがとう!」

「後で皆で食べよ♪」

「うん!」



どうやら晋ちゃんは寝坊したわけではなく、これを買うために朝から並んでたんだとか。

晋ちゃんが買ってきてくれたケーキを冷蔵庫に入れると、荷物を運び入れた。



「いらない電化製品とか捨てたら陽萌の荷物少なすぎるね、これ。」

「そうだねぇ…。」



家にあったものより、源の家にある電化製品の方が遥かにいいものだから、もったいないと思いながらもサヨナラしてきちゃった。

そしたら私の物はほとんどなし。



「これからは物だって増やせばいい。」



そう言いながら私の頭にポンッと手を乗せた源に、何度も頷いた。

それから引っ越し祝いと称して飲み会になった。


おつかいに行った晋ちゃんと煌がオードブルやお酒を買い込んで来た。



「陽萌はノンアルな。」



と煌にノンアルコールのチューハイを渡されて、私は目をパチクリさせた。

……ノンアル?



「アタシたちはビール呑むわよー!」

「やっぱビールっすよね。」



なんて言いながらビールを煽る男性(オカマ含む)陣4人。

ビニール袋の中に入っている普通のチューハイを目ざとく見つけた私は、それを狙うことにした。


とはいえ、4人ともお酒に強いもんだから、それすら至難の技で。
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