あの加藤とあの課長
煌にも言わなければと、夜飲みに行こうと誘うと、待ってましたと言わんばかりに了承してくれた。



「大阪かー…、何年ぶりだよ。」



ビールの入ったジョッキを片手に、頬杖をついた煌が言った。



「んー…、高2以来だからー…、10年近く経つのかな…?」

「懐かしいなー。」



大阪には前にも1度住んだことがある。お父さんの転勤の関係で、だいたい1年半くらい。

あの頃はまだ純粋だったなー…なんて。



「…確かお前の初恋ってさ、高1ん時だよな。2個上の先輩…なんつったっけ?」

「あぁ、三富先輩だよ、三富先輩。」



懐かしいなー…。

三富 恵也(みとみ けいや)先輩…、私の初恋の人であり、すべてにおいて私の初めての人。



「なんで別れたんだっけか。」

「先輩が大学進学と同時に上京して、そのまま自然消滅。」



すごく泣いたなー。ショックで悲しくて…。

待っていたかったけど、私も引っ越しになっちゃったから…。
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