あの加藤とあの課長
煌の匂いがして、なんだか落ち着いてしまう。

なんとか繋ぎ止めている意識の片隅で、ドアが開く音と源の声を聞いた。



「すいません、こんな風に迎えに来させちゃって…。」

「いや。番号交換しておいて正解だったな。」

「こんな妹ですけど、お願いします。」

「あぁ。…で、陽萌は…、寝てるのか?」

「さっきまで頑張ってたんですけどね。」



煌が苦笑してるのが手に取るように分かる。



「後はお願いします。」

「分かった。」



ふわりと源の匂いがして、それが煌の匂い以上に私を安心させた。



「…生渕さん。」

「ん?」

「陽萌のこと、本当に、お願いします。」

「…あぁ。ありがとな。」



ゆらゆらと体が揺れる感じがして、その心地よさに私は意識を手放した。
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