あの加藤とあの課長
あれから1週間が経った。



「そんなこと言ったの、あの課長が。」



驚きを隠すことなく晋ちゃんが言った。

晋ちゃんとこうして社食でお昼を共にするのは久しぶりだった。


だから、やっとあの日の話をできた。



「うん。なんか半信半疑だったんだけどさ、ここ1週間、課長のそういう話聞かないなと思って。」



私が知る限り、こんなに間隔が空いたことはない。

やっと課長がどれだけのプレイボーイだったかを思い知る。



「あの課長もついにかー。」

「ついに?」

「あの課長が本気出すかもってこと。」



課長が誰かを好きになって、その子を捕まえにかかる。そんなのは、私がここに来て4年間、なかったことだ。

あっても不思議はなかったのだけれど。



「課長の本気かー。」



見てみたい気もする。

あの人は、どうやってその子を落としにかかるんだろうか。


そして課長はどうやって笑って、どんな顔で愛を囁き、どう人を愛でるのか。


あまりに想像がつかないからむしろ興味が沸いてきてしまう。
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