あの加藤とあの課長
時折源をいじりながらケーキを作り上げた。


生憎、24日と25日は平日だから仕事があってこんなことしていられない。

だから今日こうしてパーティをするんだ。



「随分豪勢だな…。」



テーブルに並んだ料理の数々を見て、源は感嘆を漏らした。



「頑張っちゃった♪」



だって、次にこうしてお祝いをできるのって、いつになるか分からないもん。


年が明け、1月が終わる頃、私は引っ越す。

だから本当にあと少し。



「食うか。」

「うん。」



部屋の電気を消すと、部屋の中は闇に包まれた。ケーキに刺した蝋燭の灯りが優しい。

シャンパンが入ったグラスを持ち上げ乾杯をすれば、軽やかな音が響く。


口に含もうとグラスを口元に持っていったとき、チャイムが鳴った。



「……お客さん?」

「…宅配便とかじゃねえの?」



部屋の電気をつけた源が玄関に向かう。

(すごいタイミング…。)


玄関に行った源がなかなか戻ってこないので、気になって向かうと、源は難しい顔をしていた。

その足元には、1つのダンボール。



「…源?」

「陽萌…。」
< 222 / 474 >

この作品をシェア

pagetop