あの加藤とあの課長
「ぅわ…!」



漏れたのは、興奮に彩られた感嘆。



「ポーリッシュだー!」



きゃーっとその子に手を伸ばすと、その手を源に掴まれた。

何よと源を見ると、源は少したじろいた。



「…お前、少しも警戒しないのか。」

「…うん?」



首を傾げると、源は大きく溜め息を吐いた。



「まぁ、陽萌がいてくれて助かったのかもしれないな…。」

「…?」



可笑しな源を放っておいて、ダンボールに敷き詰められたピンクの綿の中のその子に手を伸ばした。



「可愛いー♪」

「…まぁな。」



その子を抱き上げると、スリスリと顔を擦り寄せてくる辺り可愛過ぎて悶え死にしそうだ。

まだ両手にすっぽりと収まってしまうほど小さいけれど、温かい体にホッとした。



「…それ、うさぎだよな?」

「うん!」

「…お前、結構詳しいのか?」

「んー…、そこまででもないんだけど、ポーリッシュはずっと飼いたくて…。」



写真だって漁り見たし、ペットショップや俗に言ううさぎカフェにも通ったことがある。

だけど、私も飼う余裕がなかったから…。



「飼い主さん、誰なんだろうね?」

「分かりそうなんだが…。」



腕を組んで考え込んでしまった源を無視して、大好きなポーリッシュを眺めていた。

あんまり抱っこしてるのも良くないよね…。


うさぎを片手に乗せて、もう片方の手でダンボールを持ってリビングに戻った。
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