あの加藤とあの課長
「飼い主に連絡してからな。」

「しなくていいよ、簡単に放り出しちゃうような人の所に戻したくないもん。」



拗ねたように言う私に、「分かった」と言った源は私の隣にしゃがみこんだ。

源のことだから、後で私に内緒で連絡するんだろう。



「寂しがり同士支え合って頑張るんだよーう。」



人差し指で頭を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細めた。



「おい、俺のことか?」

「ん? うん。」

「寂しがりはお前だろ。」

「だってー…、ねープリン。」

「プリン?」



いつの間に名前まで決めたんだと目を見張る源に、悪戯に笑いかけた。



「“プリンセス”のプリン♪」

「なるほどな。」



離れていても、私を感じられるように。



「源がプリンのことプリンって呼んでるの聞いたら笑っちゃいそうー♪」

「なんでだよ。」

「だって可愛すぎるもんー。」



そう源に笑いかけると、私は棚に飾ってあったマグカップを手に取った。

それをテーブルの上に置くと、ケータイを手にした。



「何するんだ?」

「ん? んふふ♪」



ダンボールの中からプリンを抱き上げると、マグカップの中にそっと入れた。



「じゃーん♪」



源に見せびらかしながら、自分もニヤニヤとする。

可愛いすぎるー!



「何してんだ?」

「小さいうちしかできないでしょ?」

「まぁな。」



プリン in マグカップ!

可愛いと連発しながら撮影会を始めた私に苦笑して、源はお風呂に向かった。
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