あの加藤とあの課長
「んー…。」

「どうした?」



お風呂にも入って後は寝るだけというときに、私はダンボールの前から動けなくなっていた。




「…プリンも一緒に寝れたらなぁ…。」

「さすがにそれはな…。」

「分かってるんだけどー…。」



私とプリンと源。
そうやって並んで寝れたらいいのに。



「プリンが小さすぎるのが悪いんだー。」

「無茶言うなよ。」



(そういえば…。)

笑ってそう言う源は、まだプリンに触れていない。



「ねぇ源。」

「ん?」

「もしかして、源って動物苦手なの?」

「……。」

「…え、本当に?」



嘘…!



「小型のが苦手なんだ。」



額に手を当てて言う源は、少し頬を赤らめて大きく溜め息を吐きながら言った。



「なんで?」

「どう扱っていいか分からなくなる。」

「へー…。」



源って本当、ときどきどうしようもなく可愛い。

なんて言ったら大目玉なんだろうけど…。



「…あ!」

「ん?」

「忘れ物!」



何事かと首を傾げる源を他所に、通勤鞄の中に入れておいたそれを取り出した。
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