あの加藤とあの課長

君がいない新転地

大阪支社に初めて出勤したのは火曜日だった。

荷物が届くのが月曜日だったから、こんな中途半端なことになってしまった。


本来なら1日繰り上げる予定だったのだけど、大阪支社の部長さんが火曜日からでいいって言うから、お言葉に甘えさせてもらった。



「おはようござます。」



出社1番に部長に挨拶をすると、部長は柔らかく笑った。



「いらっしゃい、加藤さん。」

「本日からよろしくお願いします。」



この部長は大阪の人で、どこかの会社からヘッドハンティングしてきたらしい。

やり手であることは間違いないし、大阪の人ということでニーズも分かっているから、頼りがいがありそうだ。



「今日から加藤さんには課長補佐をお願いします。」

「はい。」



私は出向の身だからいずれ東京の本社に帰らなければならない。


偉そうだけど、私のここでの仕事は、十分にここが機能するように土台を作ること。

私が離れても大丈夫だと判断されれば、私は東京に帰ることになる。


運が良ければ短期で終わるけれど、運が悪ければ相当に長引くことも考えられる。



「課長ともう1人の課長補佐ももうすぐ来るはずやから。」

「はい。」



頑張るんだ。そして、早く帰るんだ。
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