あの加藤とあの課長
どれくらいの時間見つめあっていたのだろう、高山課長が咳払いをするまで、私たちは見つめあったまま動けずにいた。



「2人は知り合い?」

「あ、はい…。」

「高校が一緒だったんです。」



言い淀むことなくそう答えるから、ぎょっとしてしまったのは私の方だった。

そんなこと言ったら…。



「へー、もしかして元彼とか?」

「まぁ、そんなとこです。」

「いいなー、三富さん。羨ましい。」



何でもないことのように繰り広げられる会話に、呆然としてしまった。

何この状況。
やりにくいったらありゃしない。



「君たちには、これから3人セットで動いてもらうから。よろしく。」



穏やかに微笑んだ部長が言った。


そっか、私のここでの仕事は、私がいなくなってもここが十分に機能するようにすること。

特に、課長周辺。



「よろしくね、加藤さん。」

「まさか陽萌と一緒になるとは…。」



各々言葉を口にする2人に、私は呆然とするしかできなかった。


すごく、すごく嫌だ。

だって前途多難な臭いしかしない。


……源に、どう説明しよう。
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