あの加藤とあの課長
それなりに任されているからもう慣れたもんだけど、やっぱり今まで経験してきたものと比べると規模が違ってくる。

資料が必要だな……。


重い腰を上げると資料室へと向かった。

途中、目眩がして廊下の壁に手をついた。



「さすがにキツいか…。」



ここ最近、ろくに眠れていない。今までは若さでなんとかカバーできたけれど。


(今までとは桁違いだもんなぁ…。)


これまでと比べ物にならない忙しさはさすがに体に堪えた。

今日は木曜日。今日と明日頑張れば…。


そう思いながら資料室で資料を探し始める。



何がいる? これとこれと…。

棚のラベルを端から順に眺めながら考えを巡らせていると、ドアが開く音がした。



「加藤。」

「課長…。」



振り返ると予想だにしなかった顔に驚く。

こんなこと、今までにあっただろうか。一体どうしたというのだろう。



「どうかしましたか?」



そう訊ねると、課長は無言で私の顔を覗き込む。

思わず胸に抱えた資料をキツく抱くと、課長はそれに気付いたらしく、少し距離をとった。



「顔色が悪い。」

「え…。」
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