あの加藤とあの課長
ドンッと強く肩を押されて、貧血で動きの鈍い体は壁に叩き付けられた。


(痛い…。)

前にもこんなことがあったような気がする。


実際、ここ最近なかっただけでこういう修羅場はよくあったもんだ。


貧血とお腹の痛みに体の痛みが重なって、もう動けそうにない。

私はそっと俯いた。



「なんとか言ったらどうやねん! 悲劇のヒロインか!?」

「……。」



視線を感じたとき、嫌な感じがしたけど、ここまで当たるとさすがに嫌になる。

帰宅間際にトイレに寄ったらこれだ。


女性社員3人に、私1人。



「ホンマむかつく! なんやの、課長とか三富さんにチヤホヤされて!」

「……。」

「聞いたで、本社に彼氏おるらしいやん。他の男もたぶらかしおって、節操なし!」

「彼氏が知ったらどう思うんやろなあ?」



……くだらない。
正直、どうでもいいよ、そんなの。

私は普通にしてるだけ。



「…帰らせてくれない? 私、体調悪くて。」

「なっ…!」

「なんやのそれ! 逃げんの!?」



吐き気してきた。
どうしよう、イライラしてきた。

生理のときって痛いのとか重なって、どうもイライラしちゃってダメ。



「何様のつもりやねん!」
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