あの加藤とあの課長
その言葉で、カチンときた。



「何様? 私は課長補佐、あなたたちの上司に当たるの。上司に対して、あなたたちこそ何様のつもりなの?」



壁に寄りかかったままそう言うと、女性社員たちが怯んだのが分かった。



「っ、年下のくせに生意気…!」



私を突き飛ばした女性社員が私の髪の毛を掴み上げる。

どうやら私よりも年上らしく、3人の中では1番の年長のようだ。



「年なんて関係ない、会社はそういうところ。うちみたいな実力重視の会社は特にそう。」



静かに告げると、彼女はどこからかハサミを取り出した。

それがあのときを思い出させる。


また…私は…刺されるの?


そんな思いとは裏腹に、ハサミが向かった先は私の髪の毛だった。

パラパラと髪の毛が降ってくる。



「…訴えましょうか?」

「っ…アンタ本当生意気…!」



そう言い捨てると、女性社員たちは私を解放してトイレから出ていった。
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