あの加藤とあの課長
「ストレートにしたい。」と言うと、おばちゃんは嫌みったらしく言った。



「ストレートってなぁ、陽萌の場合ストレートパーマかけなアカンしなぁ、時間かかるでー。」



おばちゃんが希望を言えって言ったから言ったのに。

でも最後には「オッケー。」と笑うんだ。



セミロングのストレートヘアになった私は、なんだか若々しかった。



「若返ったんちゃう?」

「私も思った。」



とおばちゃんと笑っていると、鏡越しに恵也と目が合った。


恵也は私が髪を切ってもらっている間中、ずっと待っていてくれた。

昔からそう、面倒見がいいと言うか。



「なんや、高校の頃ばっか思い出すなぁ。陽萌高校ん時もこんな髪型の時あったやろ。」



そう言って、おばちゃんにブローしてもらいたての私の髪を撫でた。

そういえば、そうだっような。



「なんやなんやー、やり直すん? え? ええなぁそれもー。」



なんて楽しげに言い出したおばちゃんに苦笑して、私は右手の薬指の指輪に触れた。

源…。
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