あの加藤とあの課長
私は堪えきれなくなって、源の胸に額を押し付けて泣いた。

会えなくて寂しかった分、愛しさが溢れてくる。



「源っ…、ごめんなさい…。」

「もういいから。な?」

「う、ぅっ…。」



なかなか泣き止まない私を、呆れたように笑いながらあやしていた。


すると突然キスを落としてくる。

呆然とする私に意地悪く笑いかけて、源は再びキスを落としてくる。



「泣き止んだ。」



その言葉で源の狙いに気が付いて、私は赤面して源を睨んだ。



「…ずるい。」

「腹ごしらえが先だな。」



なんて言って私を中へと促す。

いつもの調子の源がそこにいることが嬉しくて、今更ながら実感した。


私は自分で思っていたよりも、寂しかったみたいだ。


ソファに並んで座って、買ってきたご飯を開ける。



「…陽萌の、少なくないか?」

「そう?」



サラダだけだけど…、少ないかな…?



「…普段、夕飯食ってないだろ。」

「え!?」

「やっぱりな…。」



源は額に手を当てて、大きく溜め息を吐いた。

どうしてバレたんだろう…。


そんな私の考えもお見通しだと言わん口調で、源は言った。



「大体予想は付く。」

「…すみません。」
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