あの加藤とあの課長

「どうせ一人暮らしの頃の食生活に戻ってるんだろ。」

「…ご名答です。」



実を言うと、もっとひどくなってる。

あの頃はおじいちゃんたちから送られてきた野菜とか果物とかを朝食べていたけれど、今はそれがない。


源と暮らし始めてからは源の家に送ってもらってたんだけど、引っ越しをした今。

自然とそれは私の家に送られてくるわけで。


何となく、何となくだけど源に悪いなぁって思って、出向が終わるまでは、なしにしてる。



「ったく…。」

「あ、明日の朝からはちゃんと作る！」

「材料は？」

「買ってあるよ、源がいる間はちゃんと作ろうと思って……、あ。」

「はぁ…。」



完全に自爆した私に溜め息を吐いて、源は私の腕を掴んだ。



「さっき抱き締めたときにも思ったが、痩せたな。」

「そうかな…。」



逆に、源と暮らしてる間は食生活が健康的すぎて少し太った。

その辺にあまりこだわりはないから分からないけど、もしかしたら痩せたかもしれない。



「頼むから、食べてくれ。」



源は私の手の平を自分の頬に持っていくと、そっと手の平に唇を寄せた。