あの加藤とあの課長
「今は若さでカバーできてるかもしれないが、限界はくる。」

「…うん。」

「向こうにいたときならまだしも、この状況じゃ何かあっても俺はすぐに駆けつけれないし、助けてもやれない。」

「…うん。」

「心配なんだ。」



ふと目を上げた源と目が合った。その目は微かながら揺れている。

源…。



「…とかなんとか言って、実際は俺のためなのかもな。」

「…え?」

「結局は俺の利益に繋がるからな。」



そう言って、私の手を解放して笑った。

ちゃんと食べよう。
私のためにも、源のためにも。



「ちゃんと食べるっ…。」

「あぁ。」



サラダを頬張る私を見て、源は可笑しそうに笑った。


それから源を先にお風呂に入れて、交代で私も入った。

上がってくると、煙草を吸おうとしたらしい源が灰皿を目の前にソファに座っていた。



「源ー、どうしたのー?」



声をかけると、顔を上げた源は少しばかり怖い顔をしていた。

私…また何かやらかしたかな…。


思わず身構えた私を手招きで呼び寄せると、源は私の両手を包み込むように握った。



「煙草の本数、増えてるだろ。」
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