あの加藤とあの課長
店舗の見回りを終えて会社に戻ると、源は溜め息を吐いた。



「店舗の方は問題なさそうだが…、やっぱり問題はこっちだったか。」



源の視線の先には、大量の資料に囲まれた高山課長と恵也の姿が。


まあ、こうして仕事を始めて2週間ちょっとってところか…。

無理もない話か…。



「来い、会議室を使う。」

「はい。」



源に呼ばれて、2人で会議室に入った。



「まだ土台を作っている途中とはいえ、あの2人はやはり心配だ。」

「他はどうですか?」

「他は問題ない、現時点ではな。でもそれは上がああだからだ。」



課長周辺のレベル相応だってこと…。

でもそれじゃあ…、駄目なんだよね。どれも最高水準まで持っていかないと…。



「まずは課長周辺だ。部長は問題ないから。」



そう言うと、源は席を立った。



「少しトイレに行ってくる。」

「あ、はい…。」



源が出ていった部屋で1人、私は溜め息を吐いて額に手を当てた。

まだまだ駄目。私も引き締めていかないと…。


そのとき、源が戻ってきたけれど、その表情は怒りで強ばっていた。
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